葬儀の知識10

「訃報の連絡を受けた際や、葬儀に参列した際にきちんとお悔みの言葉を伝えようと思っていても
相応しい言葉が分からず正しくお悔みをお伝え出来ているのか不安に思うことがあります。」

 

訃報の連絡を伝え聴いた場合や通夜・葬儀に参列した際に、お悔みの言葉をご遺族や関係者に
きちんとお伝えすることは礼儀です。

 

お悔みの言葉をお伝えする際に際に大切なのは、ご遺族の気持ちに寄り添って個人を偲ぶ気持ちを
簡潔に伝えることですが、お悔みを伝える際にマナーや避けなければいけない言葉もあります。

そこで今回はお悔みを伝える際のマナーと正しいお悔みの言葉をご紹介致します。

 

〇お悔み言葉を伝える際のマナー

お悔み言葉を伝える際のマナーとして幾つか重要なものがありますので、順番にご紹介致します。

 

1. 忌み言葉の使用を避ける

「今さら聞けない葬儀のマナー 第7回 弔電の書き方」の際にもご紹介致しましたが、
お悔み言葉や弔電の際に避けなければならない忌み言葉があります。

主なものに「重ね重ね、またまた、再び、度々」など不幸が重なることを連想させる言葉や、
直接的な生死を表す「死亡、死去、死ぬ」といった言葉を使用することは避けます。
また不吉を連想させる「九、四」の数字、「苦しむ、災難」不幸な言葉も当然避けなければなりません。

 

2. 亡くなられた理由を詳しく尋ねてはいけない

故人と親しい間柄で、亡くなられた理由がどうしても知りたくてもご遺族のお気持ちに寄り添い、
死因については決して尋ねてはいけません。どうしても知りたい場合でも後々知る機会が訪れるのを待ちましょう。
また例え死因を知っていたとしても、そのことについて触れてはいけません。

 

3. 言葉簡潔に、声のトーンを落としてお伝えする

簡潔な言葉でゆっくりと、声のトーンを落としてお悔みの気持ちをしっかりお伝えしましょう。
すらすらと言葉が出るとまるで準備していたかのように感じさせてしまうこともあります。
逆にすらすら言葉が出ずに言葉に閊えることがあっても哀しみが伝わる方が相応しい態度と言えます。

 

4. 宗教・宗派によって相応しくない言葉の使用は避ける

宗教・宗派によってはお悔みの言葉でも避けなければいけない言葉があります。
例えば、浄土真宗では人が亡くなると仏様になるという教えから、
死後の幸せを願う「ご冥福をお祈りします」という言葉は相応しくありません。
また「ご冥福、成仏、供養」といった言葉は仏教由来の言葉のため
は神道やキリスト教では不適切な言葉となります。

 

5. 相手に応じて言葉を使い分ける

代表的なお悔みの言葉に「ご冥福をお祈り致します」。「お悔み申し上げます」、「ご愁傷様です」と
いった言葉がありますが、それぞれ言葉をかける対象が異なります。
「ご冥福をお祈り致します」は故人に向けた言葉ですので、遺族に伝えるのは不適切です。
反対に遺族を気遣う言葉の「お悔み申し上げます」を故人に使うのは不自然となります。
また「ご愁傷様です」は故人の身内の方や親族にかける言葉で友人や知人に使うのは不適切となります。

 

お悔みの言葉を使う際に上に挙げた6点に気を付けるようにしましょう。

 

○お悔み言葉例

亡くなられた方の状況や場面に応じて使い分ける必要はありますが、
一般的に使われている無難なお悔みの言葉をご紹介致します。

 

・基本のお悔み言葉
「この度は誠にご愁傷様でした。心よりお悔み申し上げます。」

 

・急死・事故死の場合
「突然のことで何と申してよいか言葉が見つかりません。心よりお悔やみ申し上げます。」

 

・病死の場合
「先日お見舞いにお伺いした際は非常にお元気でいらしたのに、本当に残念でなりません。心からお悔み申し上げます。」

 

・夫・妻を亡くされた場合
「この度は誠にご愁傷様でした。ご主人様の急なご不幸、どんなにかお力落としのことと思いますが、
ご家族様の皆様には、一日も早くお心が癒えますよう、心よりお祈りいたしております。」

「この度は誠にご愁傷様でした。奥様の急なご不幸、どんなにお辛いことかとお察し致しますがご家族様の皆様には、一日も早くお心が癒えますよう、心よりお祈りいたしております。」

 

・父親・母親を亡くされた場合
「この度は誠にご愁傷様でした。お父様(お母様)のご不幸、どんなにお辛いことかと想うと慰めの言葉も見つかりません。ご家族様の皆様には、一日も早くお心が癒えますよう、心よりお祈りいたしております。」

 
・お子様を亡くされた場合
「この度のご不幸、〇〇様の哀しみを想うと本当に胸が張り裂ける思いです。哀しみが少しでも癒されますよう、心よりお祈り申し上げます。

 
・上司・同僚を亡くされた場合
「この度は思いがけないことで、さぞかしお力落としのこととお察し致します。
人望が厚い方で、皆悲しんでおります。心よりお悔み申し上げます。」

 

上記のお悔みの言葉はあくまでも差支えのない無難なお悔みの言葉としてご紹介しております。

 

最も大切なことは心から故人を思い、ご遺族を思い寄り添うことで自然と出てくる
言葉で哀悼を表すことだと思います。
決して取り繕うとはせず、故人、ご遺族に自分の言葉をしっかりと発すれば思いは伝わるものです。

 

今回の記事も最後まで読んで頂きありがとうございました。